先日、災害対策&キャンプ用に自作したLiFePo4ポータブル電源ですが、折角なので室内で普段使いして自宅の電気代の節減にも役立てたいと思うようになりました。
LiFePo4バッテリーは燃えにくく比較的安全と言われていますし、信頼性の高いJBD社製BMSでバッチリ過充電対策しています。それでも中国通販で購入した激安LiFePo4バッテリーセルを、留守中に室内で充電するのは防火面でやっぱりちょっと心配…。
そんな訳で、昼間仕事に行っている間も安心してソーラー充電できるように金属製のケースに換装して、万が一の過充電事故に備えて発火・破裂対策をしておくことにしました。
当初はアイリスオーヤマの激安アルミケースや、金属製の工具箱等に収めることを考えていました。でも激安アルミケースは、実はアルミ製ではなく樹脂製という事が判明。金属製工具箱は丁度よいサイズのものが見つかりませんでした。
そんな中、アンモ缶と呼ばれる弾薬箱を発見!本物の軍払い下げ品は高価ですが、新品のレプリカはとても安価に出回っていました。サイズもいろいろあって、そのうちの一つがウチのLiFePo4セルに丁度良さそうです。
フタにはごついゴムパッキンが装備されており、これなら防水・防塵性もバッチリ!
防火面でも安心して使えそうですが、密閉度が高すぎてアンモ缶自体が爆発しないように安全弁も作ることにします。
ホームセンターのカインズでも、オシャレなロゴ入りアンモ缶が3カラー2サイズ売っていました。こちらは実店舗で買った方が安いです。
アンモ缶の外側に電力を取り出すために、大型インバーターの外装に付いているような太い電極も取り付けることにしました。
何というパーツ名で検索したら良いのかサッパリ分かりませんでしたが、「ターミナルポスト」とか「バインディングポスト」という名前で検索をかけるとそれらしきものがHITしました。
キロワット級のインバーターには大抵M8サイズの電極が付いているので、それに合わせて8mm(5/16インチ)の太さのものを選んでみました。
金属ケース使用時に一番怖いのは、ケースを伝って発生するショート事故。ケースとの絶縁部分がなるべくしっかりした造りになっているものを探したほうがいいと思います。(↑私はココが薄いものを買ってしまいました。。)
使用しているLiFePo4セルのサイズは 200mm × 135mm × 35mm × 4枚。セルの厚みが多少膨らんで、トータルのユニットサイズは200mm × 155mm × 145mmになっていました。
アンモ缶購入時、内寸が書かれていなかったので正直収まるか心配だったのですが、計測してみると約D275mm × W140mm × H175mm程。やはり5mmほど横幅オーバーで入りませんでした。。
仕方がないので、当初BMSに対して横向きに組んでいたセルを・・・
一旦バラして縦向きに組み直し!!
さぁ、これでどうだ?
幅はなんとかクリア!!
でもその分高さが増して、フタが電極に当たってショートする心配が出てきました。。
思案の末、工具箱に余ってたエアコンパテを電極に置いて一旦アンモ缶のフタを閉め、潰されたパテの厚みを見れば電極とフタとの間のクリアランスを確認できるのではと思いつきました。
結果は5〜8mmくらいの隙間がありました。フタと電極にカプトンテープを貼って絶縁し、間にプチプチを巻いて養生するくらいの余裕はありそうで一安心!
万一収まらなかったらアンモ缶はペグケースにでもしてやろうかと思っていましたが免れました!!
今回私が購入したターミナルポストは樹脂製の絶縁部分の直径が12mmのものでした。
これに合わせてアンモ缶に13.5mmの穴を2つ開けるのですが、さすがにこの太さの金属用ドリルは1本4千円近くします。。
経費節減のため、ダイソーの金工ドリルで穴を開け、あとは穴を削って広げるテーパーリーマーという道具を使って地道に直径13mmまで削ることにしました。
地道な作業はボーッとしてついうっかりやりすぎてしまうので、テーパーリーマーの直径13mmの部分にマスキングテープで「ここまで削ればOK」の印を付けておきました。
鋭いバリが出て危ないのでヤスリで削っときました。その時にヤスリが当たって周囲の塗装も傷だらけになってしまうので、養生テープも貼っときました。
ピッタリの穴が開きました!
あとは樹脂製の絶縁部品でアンモ缶を挟み、ボルトを締めて固定すればターミナルポストの取り付け完了!
万が一チャージコントローラーやBMSの安全機構が作動せず、不慮の過充電事故でLiFePo4セルがケース内で破裂した場合に備えて、アンモ缶自体が爆発しないように内圧を逃がすための安全弁を作ることにしました。
適当な場所に適当な穴を開けて・・・
ダクトテープで穴を塞げば安全弁の出来上がり!いざという時はここが破れて電解液の蒸気が抜けるという寸法です。
次はターミナルポストと、中のLiFePo4セルやBMSを接続するための極太ケーブルを作ります。
定格150A出力できるBMSの能力を活かそうと思ったら理論上は38sqのケーブルが必要になるのですが、そこまで太いとケーブルと言うよりもう、金棒になってしまいます。切るのも圧着するのも大変で、電線も対応する工具もすごく高価です。
最近の中華インバーターに付属しているバッテリーケーブルやBMSの出力ケーブルは、14sqの2本並列だったり8sqの3本並列だったりします。アンモ缶バッテリーの内部配線も14sqケーブルを2本並列で最短距離で結ぶことにしました。
最初はAmazon最安のフジクラのケーブルを購入したのですが、硬すぎて全く取り回しが効かないので直線配線部分にしか使えませんでした。後から購入した太陽ケーブルテックのケーブルは柔らかくて使いやすかったです。
長めのケーブルをたわませておくこともできないので、現物合わせで長さをキッカリに作らなければなりません。
購入した長いままのケーブルを、切り出さずにまずはそのまま両端の被覆を剥いて・・・
38sq圧着端子用の絶縁キャップに、被覆を向いたケーブルの両端を2本一緒に通して・・・
ケーブルの先をR38-8Sの圧着丸端子で共締めにしました。
圧着したら、先に通しておいた絶縁キャップを被せて・・・
一旦LiFePo4セルに仮止め。
ショート事故防止の為、仮止め後の電極部分はカプトンテープでカバー。
念の為スマホからBMS出力も停止しておきました。
アンモ缶内のターミナルポストにもR38-8Sの圧着丸端子を仮止めして・・・
プチプチでくるんだLiFePo4セルを一旦アンモ缶に収めてみました。
写真ではわかりにくいのですが、ターミナルポストに仮止めした丸端子のカシメ部分上端の高さでケーブルに印を付けてます。
仮止めしていたLiFePo4セルプラス極とターミナルポストの丸端子を外し、印を付けた場所でケーブルを切断して丸端子を取り付け。ケーブルのハギレを出さずに現物合わせでピッタリの長さのケーブルができました!
マイナス極側は逆の手順で行くことにしました。
まずはショート事故防止のため、プラス端子側の露出部分全てをカプトンテープで絶縁保護。
そして先にターミナルポスト側から、R38-8S丸端子にケーブル両端共締めしたものを仮止め。
その後にBMSのCー端子にR14-6丸端子を2つ仮止めしてアンモ缶に収め、ケーブル位置を決めてマーキング。
印を付けた箇所でケーブルをカット。BMSの2つのC−端子に合わせて2又に作成。
2又側をBMSに接続。こちらも現物合わせでピッタリの長さのケーブルができました!
BMS電極部分はアンモ缶のフタがあたらないようカプトンテープで絶縁し、プチプチを被せておきました。
アンモ缶内でのLiFePo4セルのガタつき防止で、空いたスキマにセルが届いたときの梱包スポンジを切って詰めました。
フタを閉めればアンモ缶LiFePo4バッテリーの完成です!
先程スマホから出力停止しておいたBMS出力を再開させ、念の為動作テストもしておきました。
我が家で地味に一番電力を食っている家電は冷蔵庫なので、これをソーラーパワー&バッテリーに貯めた電力で稼働できればかなり電気代を節減することができます。
冷蔵庫はカタログスペックでは一見、大したワット数では無いように見えます。が、実は大きめのモーターが断続的に運転と停止を繰り返すため瞬間的に大電力を吸い出します。俗に言う「誘導性負荷」ってヤツです。計測してみたところウチの冷蔵庫は、コンプレッサー始動時に700〜900W、ヒドイ時には1,580Wのサージ電力を1〜2秒間吸い出していました。
手持ちのEDECOA1500Wインバーターのカタログスペックは「瞬間最大3000W対応」となっていましたが、実際には過負荷保護機能が作動して運転停止してしまいます。電源入れ直すまでは自動復帰もしてくれないので冷凍食品が溶けてしまうリスクがありました。
最近は評判の良い2000W級インバーターが2万円を切っていたりすることがあるので、Aliexpressのセール時を狙って買い替えました。これなら冷蔵庫のサージ電力も、ルーフエアコンや電子レンジの駆動だってどんと来いです。
但しAliexpressで購入する場合は電圧やプラグの形状に種類があるのでご注意を。「Ships From:CHINA」「入力電圧:12V」「出力電圧:100ボルト」「ソケットタイプ:日本」を選択します。国内通販で買うよりだいぶ安いですが、私が取り寄せた時は輸入通関時に別途1,480円の関税がかかりました。大陸からにしては意外と早く13日で届きました。
とりあえずインバーターにオマケで付属してきた4AWG(8AWGの2並列?)のバッテリーケーブルで接続して使用しています。長くて邪魔なのでとぐろを巻いていますが、大電力使用時の電圧降下がヒドイのでいずれ14sq×2並列で最短ケーブルを製作予定。
ベルクロストラップでアンモ缶とインバーターを巻いて固定してみたところジャストフィット!合計14kgで2000W出力可能なモンスターポータブル電源が完成しました!
ここまでにかかった材料費は、LiFePo4セル22,648円、BMSとBluetoothユニット9,712円、アンモ缶2,580円、インバーター19,667円、ざっくり合計54,607円でした。(線材費等含まず)
市販品で2000W出力可能な製品は20万円近いので、だいぶ安上がりに作れました!
今回はYouTube版のレシピも制作しています。
動画の概要欄に詳細な使用部材と工具を記載していますのでご参考にどうぞ、
ソーラーパワーで冷蔵庫を駆動していると、曇り続きで電力が枯渇して冷凍品が溶けてしまうリスクがあります。
そこで電力枯渇時に自動で商用電源に切り替える「グリッド切替機」を導入してみたいと思います。
お楽しみに!