友達から「買ったばかりのPCにコーヒーをこぼしてしまった」というかわいそうな話を聞きました。
なんでも、「キーボードが一部死んだので外付けUSBキーボードで使ってるけど、時々何かのキーが押されたままの状態になりリセットするしかなくなる」とのこと。作業中のデータがパーになるリスクを常に抱えているらしく、これはなんとかしてあげたい。
もしかしたら過去に修理した水没iPhoneのように(例1・例2・例3)、接点類や内部基盤を無水エタノール洗浄したら治るかも知れません。または故障部品のみの交換で安価に治せるかも知れません。
そんな訳で、ダメ元でPCを預かって分解してみることにしました。
預かったPCは、TECLASTというメーカーの「F7 Plus 3」という機種でした。
あまり聞いたことがないメーカーだなと思ってググってみると、コスパの良いエントリー向けノートPCやタブレットを沢山リリースしている大陸メーカーのようです。SSDにメタルトップボディというのがいいですね。
でもぱっと見、キーボードは表側から外せるタイプではなさそうです。修理難航の予感。
一方、裏面は樹脂製。トップをメタルボディにして剛性を出すことでドンキPCのようなグニャグニャ感を抑えつつも、トータルで軽量化とコストダウンを両立できる合理的な造りです。
オールメタルボディだと、底面が冷たかったりCPUの熱で熱かったりして膝に載せていられないときがまぁまぁあるんですよね。底面やパームトップが樹脂製だと快適に使えそうです。
早速外装を剥いで行きましょう。
まずは背面のネジを全部外していくのですが、上の写真の通り手前側とヒンジ側でネジの長さが異なります。
紛失防止と留まっていた場所の記録を兼ねて、水道屋広告マグネットを用意してくっつけておきます。このあとバッテリー、ヒートシンク、マザーボード、I/Oボードの分も必要になるので、マグネット5枚くらい用意しとくと良いかも。
目に見えるネジを全部外しても裏ブタが開く気配がありません。ゴム足の裏側に隠しネジでもあるんかな?と思って剥がしてみたら当たりでした。ヒンジ側だけで、手前側のゴム足の下には何もありませんでした。
あと、SSDハッチ周りにも隠しネジはありませんでした。
樹脂ボディなのでツメではまってるのかも?と思って継ぎ目をこじってみたらパチパチと裏ブタが外れはじめました。
取れました。とりあえず裏ブタは綺麗。コーヒー跡なくて一安心。
開けてみると、アルミシャーシを挟み込むような形で各部品が固定されていました。低電力型CPU機なので排熱部品が必要無く、バッテリーも小さくて済むので構造がとてもシンプルですね。
右上の大きな銅版のヒートシンクに覆われた基盤がマザーボードのようです。
各パーツのコネクタが黒いナイロンテープでマザーボードに留められています。
左側に刺さっている紙巻きガムみたいなのがSSD、手前の大きな黒い物体がバッテリーですね。一番怖いバッテリーコネクター周りを含め、ぱっと見重要部品にコーヒーが届いた形跡は無さそうで一安心。
まずは一番手前のバッテリーを外します。
ネジを全て外した時点で裏側の様子を確認。すると・・・
内蔵キーボードからマザーボードへ延びるフラットケーブル発見!
コイツの型番を読み取って、うまく同じ部品が入手出来れば安く修理できるかもしれません。
読み取った型番をググってみるとありました!アリエクスプレスで互換パーツが安価に売られているのを発見!もしキーボードの問題だけだったら、コイツを取り寄せて交換すれば治りそうです。
さっそく注文しようかとも思いましたが、他の箇所で致命的な被害が見つかった場合に無駄になってしまうのでとりあえず今はまだ我慢・・・。
先に他の部品の被害を確認していきましょう。
マザーボードを取りはずして両面の被害状況を詳しく確認するためには、接続された全てのパーツのコネクターを外す必要があります。
まずはコネクター上に貼られた黒いナイロンテープを全て剥がします。
バッテリーコネクタを外します。
ケーブルを引っ張ってコネクタから抜けてしまったら怖いので、コネクターの左右をツメで手前にちょっとづつ引っ張る感じで。
次にSSD。
左端がアルミシャーシにネジ固定されているので外しておいて、左方向に引っ張れば抜けます。
使用されているSSDはM.2 SATA規格。端子はM+B keyでサイズはType2280の物でした。
最近よく流通してるNVMeのM keyではないので、交換するときは間違えて購入しないよう要注意です。
液晶ディスプレイコネクタは上部ヒンジ下にあります。
この手のフラットケーブルコネクターにはケーブルロックが付いているので、樹脂製のヘラ的な物でパチンと手前に起こしてやります。
ロックが外れると持ち上げるだけでスッと外れます。
同じ要領で他のフラットケーブル類も外していきます。これは内蔵キーボードのケーブル。
こっちは内蔵トラックパッドのケーブル。
I/Oボードへ繋がるケーブル。
キーボード上方の各種LEDランプ類に繋がるケーブルはめちゃくちゃ細くて怖いですね。糸みたい。
慎重にコネクタの左右をラジオペンチで掴んで引っ張って抜きました。
LED類と同じ要領でスピーカーケーブルも抜きます。
最後に2本のWi-Fiアンテナを樹脂のヘラでパチンと外せば、マザーボードの全てのコネクターの取りはずし完了です。
マザボードを覆っている大きな銅板ヒートシンクをはずすため、表面の4本のネジをはずします。
ヒートシンクはCPU上にサーマルパッドで貼り付いているので、上に持ち上げても取れません。横にスライドさせるような感じでひねるようにすると取れました。
いよいよこのPCの最重要部品、マザーボードとご対面!表面にコーヒー跡は一切見当たらず一安心。
中央に超低電力型CPUのモバイル向けCeleron、左側にはメモリチップが4枚並んでいるのが見えます。基盤全体はスマホくらいのサイズでとてもコンパクト。
マザーボードをアルミシャーシに固定している6本のネジを外して裏面も確認。
ちゃんと絶縁シートが貼ってありました。幸いこちらにもコーヒー跡は一切ありません。
スピーカーは2本のネジで樹脂ボディに固定されていました。こちらも裏側に異常なし。
各種入出力端子がまとめられたI/Oボードは、ヒンジ金具もろともアルミシャーシに共締めされていました。
I/Oボードの裏側もちゃんと絶縁シートが貼られており、コーヒー跡はありませんでした。
アルミシャーシのこちら側に固定されたパーツは全て取りはずしました。
シャーシと樹脂ボディの間にキーボードとトラックパッドが挟まっているのが見えるのですが、もうコレ以上はずせるネジが見当たりません。こっから先どうやってバラすんだ??
マイナスドライバーでこじったらパチパチとはずれて来るパターンかとも思ったのですがビクともしません。
よーく見ると、アルミシャーシに70ヶ所くらい空いた穴に樹脂ボディがリベット状に溶接されているようです。
コレ全部削り取ったらアルミシャーシをボディから分離できるかも知れませんが、元に戻せなくなります。
詰んだ・・・。
いやぁ、早まって互換キーボード発注しなくて良かったです。
この後、「内蔵キーボードのコネクタを抜いたまま組み上げて、外付けUSBキーボードだけで運用できるようにしよう!」とひらめいたんですが、そもそも電源ボタンがキーボードに内蔵されているので起動すら出来なくなりダメでした。デバイスマネージャから内蔵キーボードドライバを削除してみても、起動すると速攻自動復活する始末。
仕方なく友達には「ダメだった」と伝えて、元通りに組み上げたPCを返却しました。トホホ。
今回は不本意な結果となってしまいましたが、今後このPCの修理をされる方の参考になるよう記録を残しておきますね。
YouTube動画版もUPしています。
このPCの修理方法について何か良いお知恵をお持ちの方がおられましたら、是非動画コメント欄にてご教授頂ければ幸いです!🙇♂️