テント内でのストーブ使用は一酸化炭素中毒の危険があるためメーカー非推奨です。使用される場合は十分に対策を講じた上で自己責任でお願い致します。
2018年の北海道胆振東部地震の長期停電の際、「これが真冬だったら凍死してたかも…」とゾッとしたものです。
その後のホームセンターには格安の防災備蓄用ストーブが山のように積み上げられていましたが、昔実家とかによくあった輻射式のダサいやつでした。当時は「防災備蓄用だし実際に使用することはめったにあるまい」と、とにかく一番安いヤツを買って押入れの奥底にしまい込んでいました。
あれから2年。「誰もいなくなった山奥で冬キャンプをしたい!」と思い立ち、久々に引っ張り出して北海道の冬山での実用性を確認してみることにしました。
機種はTOYOTOMIのRSX-230。当時7千円前後だったと思うのですが、地味にコンクリート8畳対応と思いのほかハイパワー。
本当はいま流行りのアルパカストーブとか、スノピのレインボーストーブとかアラジンとかのオシャレなヤツが欲しいところですが、ソロキャンプの狭い幕内での使用となると、端に寄せられる反射型の方が実用的と思われます。
今回使用するテントはFIELDOORのワンポールテント400 T/Cという、熱に強く火の粉で穴の空きにくいポリコットン素材の格安テントです。発売された頃は実勢価格が1万6千円くらいで、人気のテンマクデザインのサーカスTCの半額くらいだったらしいのですが、今は随分高くなりましたね。私はメルカリで中古品を安く譲って頂きました。
ニセコアンヌプリの麓にある「ニセコサヒナキャンプ場」を今回の宿営地とします。
夏場はなかなか予約が取れないほど人気のキャンプ場らしく憧れの地だったのですが、冬場の平日前ならきっと誰も居ないだろうと11月の某日にココを予約しました。本州で11月といえば紅葉の季節ですが、北海道山間部の11月の夜間気温は氷点下になるのですよ…。
到着した駐車場に他の車は見当たらず。
薪ストーブのあたたかい素敵センターハウスも無人で貸し切りです。
ここに住みたい。。
ここのキャンプ場は他のお客さんが居たとしても、各サイトが針葉樹の林で区切られてプライベートが保たれているので、コロナの状況下ではとても良いトコロなのです!
受付時「今日はどこでもお好きな所をお選び下さい」と言われたので、晴れれば目の前に羊蹄山が見える一番奥のファミリー向けカーサイトを、贅沢に独りで使わせてもらうことにしました。
晴れると良いな…。
ストーブは壁際に設置しました。でもあまり壁に近づけると天板の上の幕が燃えかねないので、このくらい壁から離しておきました。
ストーブを囲むようにローチェアとコットを配置。
設営が終わる頃には日も暮れて暗くなってきました。一気に冷え込んで来たので外での焚き火は諦めて、早々に幕内でぬくぬくすることにしました。
一番怖いのはやはり一酸化炭素中毒なので警報機を用意。Amazonの格安品のレビューをみていると動作不良品もあるようなので、念の為2個使用します。家を出る前に動作テスト済み。
FIELDOORワンポール400T/Cには天井部分にベンチレーター(換気口)が2つ付いているので開けておきます。そして熱気が天井付近にこもって床付近が冷える事を避けるため、USB駆動の小型サーキュレーターで幕内の空気を撹拌します。
TOYOTOMI RSX-230をフルパワーで焚いた時の天板温度を計測してみたところ、なんと400℃を超えていました!局所的な温度なので暖房能力とは比例しませんが、天板温度だけなら薪ストーブの倍くらいありますね…。料理に大活躍しそうです。
こうなると心配になってくるのがストーブ上部のテント幕への影響です。測ってみると一番熱いところでも38℃でした。意外なことに幕への影響は殆ど無いようです!
安全性を確認できたところで晩飯調理開始!まずはメスティンでご飯を炊いてみます。
このストーブ、天板に長方形のくぼみがあるのですが、なんとそのくぼみにメスティンがシンデレラフィットするのです!ちなみに使用しているのはMiliCampの1.5号炊きメスティンです。
メシを炊くことを想定して設計されたとしか思えない…。
炊きあがりもバッチリ!天板温度が高いので吹きこぼれや焦げ付きを心配していたのですが問題有りません。ブツブツ吹いたり、うっすらおこげが出来る程度。とても香ばしく炊飯器では出ない香りです。
スキレットで肉を焼くにも充分の火力がありました。ヤカンを灯油タンクの蓋の上に載せておけば、お湯も程よい温度で保温できます。
ご飯を食べ終わって外を見ると雪が積もっていました。今夜は寒そうです。
冬用ダウンシュラフは高額なので持っておらず、うちにあるのは昔コストコで安売りしていたコールマンの3シーズン用の薄手の封筒型。足元に小型湯たんぽを入れてみました。
土井金属化成の「miniまる」というブリキ製湯たんぽで、「直火厳禁」シールが貼られていますが、フタを閉めたまま直火にかけちゃう困った人対策で貼っているそうです。フタを外せば直火で温められます。
でも最近は無塗装の無垢のブリキのやつはあまり売ってないかも。
朝方にはマイナス2.2℃まで外気温が下がりましたが、パーカー姿のまま快適に就寝することができました。但し幕内の床付近の結露はすごかったです。灯油を燃やすと水分が出ますし、ヤカンも載せっ放しなのでなおさら湿度高かったと思います。でもその湿度のおかげで体感温度が高かったのだとも思います。
防災備蓄用石油ストーブ万能でした!
デメリット
結露は地味に困りものです。テントを乾燥撤収できず、そのまま畳んでしまい込むとカビます。帰宅後自宅でテントを広げて乾かしてから収納する必要があり、これはかなり面倒です。
車両積載時、ストーブ、タンク、ポンプ、予備ポリタンクを積むとなると結構なカーゴスペースも食ってしまいます。我が家はエレベーターのないマンションなので自宅への搬入作業も一苦労…。
薪ストーブならキャリーバッグ一個で済む上に燃料も現地調達できます。煙突から強制排気されるので湿度が低く、さほど結露もしないと思われます。何より幕内でぬくぬくと焚き火を眺められます。
撤収時のことも考えると、結論としてはやっぱり薪ストーブが欲しくなりました…。
翌朝バッチリ晴れて…
目の前に羊蹄山見えました!
寝てる間にこんなに積もってたんだ…。