我が家の奥様のスマホカバーは年間2〜3回ペースで壊れます。使い捨てと割り切って市販の安い手帳型カバーを利用しているのですが、フタ部分にカードやレシート類を詰め込んでいると、合皮製品は数ヶ月でポケットが裂けてしまうようです。
そこでフタ部分にカード4枚収納可能な大きなポケットを装備した、留め金のない丈夫な本革製スマホカバーをこしらえてあげることにしました。
前回マチ部分の幅が足りなかった教訓を活かし、今回はカード4枚重ねてもフタが閉まるようにかなり余裕を持った設計とします。ポケットがパンパンに膨らんだ状態でもフタが閉まりやすいように、今回留め具は付けません。ブックカバーみたいな簡易なスマホカバーにしました。
前回に引き続き、レザークラフトをやめた友達から半裁で譲り受けた1.7mm厚のヌメ革で作成しました。
荒裁ち用の型紙を定規にして革に銀ペンでぐるりと線を引き、それに沿って大雑把にザクザク材料を切り出します。ヘリは材料を貼り合わせたあとで、本裁ちの時にキレイに切りそろえます。
そのままだとキズやシミになりやすいので、作業前にピュアホースオイルを塗り込んでおきます。
フタ部分の床面はポケットの裏地になるので、トコノールを塗ってガラス板でこすってピカピカに磨きます。
そして内張りを貼ってしまってからでは処理できない部分のヘリを落として、トコノールで磨いておきます。
経年で革が柔らかくなってきてもヨレヨレにならないように芯材を貼っておきました。材料は150ミクロンのラミネートシート(硬化済)。右側は後でカメラ穴をあける部分に芯材が入らないようにしておきます。左側はそのままポケットの裏地にして、カードを数枚入れても型崩れしにくくしておきました。
今回依頼者は右開きにしたいとの事だったので左側をフタにします。サイビノールを内張りのフチ部分にのみ塗って接着し、フタをポケット状にします。今回裏地は付けずにトコノールで磨いただけです。
後でクリアケースを接着予定の右側は、全面にサイビノールを塗布してローラーでしっかり圧着します。
次の日、サイビノールが固まって内張りがしっかり接着されてから、本裁ち用の型紙でぐるりと線を引き・・・
裁断していきます。
ヘリを落として・・・
角のアール部分を整えます。従来は1円玉を使用していましたが、コイン跡を消しゴムで消すのが面倒でした。今回たまたま手近にあったステンレス差金を利用してみたところ、全く跡が残りませんでした。今後はこの手で行こう…。
300番→1000番のペーパーで全体的にコバを丸く整えたらトコノールを塗って、半乾きのうちにTシャツの端切れでシャカシャカこすって磨くと、コバが光って良い感じになりました!
ステッチンググルーバーの先端を念に付け替えて、コバから3mm内側にスジを入れていきます。
今回はヘビーデューティ仕様なので、ミシンを使わず極太の糸で手縫いします。普通ならハンマーで目打ちを打ち込んで縫い穴を開けていくのですが、我が家は集合住宅なのでご近所迷惑になってしまいます。
そこで、「菱目パンチ」という道具を使って縫い穴を開けて行きます。
こいつがあれば無音でサクサク縫い穴を開けることが出来ますし、2本歯のものも用意しておけば角のアール部分もキレイなカーブを描いて縫い穴が開けられます。
…っと!ココでトラブル発生!
革の重なる枚数が変わって段差になる部分は、慎重に作業しないと縫い穴が曲がってしまうんですね…。知らずに調子にのってサクサク進めていたらこんな状態になってしまいました。銀面に当てた歯が、グルーバーで引いた縫いスジから逸れないように意識しながら穴を開けないとダメだったようです。
1箇所失敗してしまいましたが、あとはまぁ何とかキレイに縫い穴を開けることができました。
今回はビニモMBTの0番という丈夫な極太糸を取り寄せました。Amazonや楽天ではなかなか欲しい色の糸が無いので、いつも大戸糸店というところを利用しています。
手縫いするのが久しぶり過ぎてすっかり縫い方を忘れてしまったのでぐぐりましたw ココがとっても分かりやすいです。
今回はのんびりビール片手にYouTubeLive中継しながら縫ったのですが、久しぶりの手縫いということもあって2時間くらいかかってしまいました。
縫い終わったら実際にソフトケースを挟んでからケースをギュウギュウ折り畳み、ケースのすわりの良い場所でカメラ穴に銀ペンで印を付けます。
カメラ穴のコバも他の箇所と同じ様に仕上げます。
刻印を入れて、ソフトケースを極太両面テープで本体に接着したら完成です!
これでカード4枚とレシートやメモを挟んでいても、ポケットが破損することは無いと思います!
また数年後にエイジングレポートできるくらい長持ちすれば良いな。
今回の製作は初の試みでYouTubeLiveで中継しながらの作業でした。無編集のダラダラとしたアーカイブですが参考までに置いておきますね。