Gadget・PC Repair & Leather Craft Workshop

iPhone12 Pro Max用 手帳型本革カバー製作 (左開きタイプ)

5年間使い続けたiPhoneの動作がカクカクになり遂に買い替えを決意しました。本体はまだ販売開始してないのですが、格安透明ソフトケースは先行して販売されているので、それを元に手帳型本革カバーを製作してみたいと思います。

型紙作成

前回は百均ソフトカバーが流用できたのですが、今回のiPhoneは形状が新しくなっているのでそうもいきません。

今回はAmazonで先行して販売されている透明ソフトケースの中から、極力安いものを探して発注しました。

そしてソフトケースの形を目安に、厚紙にラインを引きます。

前回フタ部分との間のマチ部分は15mmで丁度良かったので、今回もそのサイズで製作してみます。

一応荒裁ち用に10mm大きめの型紙も作っておきます。

型紙販売はじめました

今回実際に製作してみて気付いた点を型紙に反映し、A4サイズのPDFファイルにしてダウンロード販売いたします。

【型紙】iPhone12 Pro Max用 手帳型本革カバー型紙PDF(BOOTH)

今回の材料

去年友達から貰った厚み1.7〜1.8mmくらいの半裁ヌメ革があったので、今回は初めてのヌメ革での制作にチャレンジしてみます!

通販で買うとしたら1.5mm厚くらいのA2サイズが手に入りやすいかも。A4サイズでは内貼りに使用する分が足りなくなります。

切り出し

荒裁ち用の型紙を定規にして革に銀ペンでぐるりと線を引いて切り出します。あとでちゃんと本裁ちするので、ここはハサミで大雑把にザクザク切っても大丈夫です。

エイジング前のヌメ革ってすぐに指紋付いたり爪の跡が残ったりしてなかなか神経を使うのですが、作業前にピュアホースオイルをたっぷり塗布しておくと割と大丈夫になります。翌日には元の色に戻ります。

パーツの下ごしらえ

まず最初に、内貼りのこの部分のヘリを落としてトコノールで磨いておきます。私はクラフト社の1mmでヘリを落としてから、400番→1000番のサンドペーパーでヘリを丸く仕上げ、最後にトコノールを塗って半乾きのうちに着古したTシャツの端切れでシャカシャカ磨いてツヤを出しています。

なぜ最初にここを磨くかというと・・・

内張りを貼り合わせた後からじゃ磨けなくなるからです。

カバーのフタ部分は、内張りを全面接着せずにポケット状にしたいので、ここもトコ面にトコノールを塗ってガラス板でこすってピカピカに磨いておきます。そうしておかないとトコ面からボソボソ革クズが出るし、経年で黒っぽくススけてきて劣化が早くなります。

芯材と内張りの貼り合わせ

今回は厚み1.7mm以上あるかなり硬い革を使用しているので芯材は不要かもしれませんが、経年で柔らかくなることを想定して念の為芯材を入れておきます。前回150ミクロンのラミネートシートの端切れを使用してみたら丁度よいハリで、5年経っても良い感じだったので今回も同じものを使ってみます。都合よく端切れがなかったので、今回はわざわざこのためにまっさらなラミネートフィルムを機械に通してます。

同じような薄さとハリのある素材としては、百均の硬質カードケースをバラして、カッターやハサミで切り取って使ったら近い感じになるかもしれません。コンビニ弁当のフタとか、商品梱包のブリスターパックとかでも良いかも。

芯材の形はカメラ穴を5mm以上避けておかないと、内張り貼った後にカメラ穴開けるのが大変になります。

縫い合わせる時にミシンの針に干渉しないよう、私は本裁ちラインより5mm以上内側に収まるような形で芯材を切っています。

サイビノールで貼り付けますが塗りすぎてはみ出てしまい、慌てて濡れ布巾で拭き取りました・・・。

芯材を貼ったら内張りもサイビノールを塗って貼り付けます。こちらも少しだけはみ出しましたが、乾けば透明になるのでこれくらいは許容範囲です。

フタ部分の製作

本当はここでマグネットボタンを取り付けて、芯材を貼ってから内張りを張り合わせるのが正しい作業順序なのです。でもこの時はすっかり忘れており、縫い代にサイビノール塗ってしまいました・・・。

後で剥がす羽目になるとも知らずに「キレイに貼れた」と喜び・・・。

裏返して本裁ち用型紙で線を引き、

そのラインに沿って黒刃カッターで丁寧に本裁ちして、

「だいぶ形になってきた!」と喜んでいたトコロにふと気付いたのです。

マグネットボタン取り付け忘れてね?!

サイビノールが固まった後に引っ張ってベリベリ剥がすと、革が延びて形が変わってしまうので、カッターで慎重に切り開いて剥がしてみました。とほほ。

裏返してコルクの上に乗せ、マグネットボタンのカシメが刺さる箇所に菱ギリで2つ穴をあけます。

あけた穴にマグネットボタンのカシメをぐっと刺し込みます。今回フタ側で使用しているマグネットボタンもクラフト社の磁気防止差し込みタイプです。(品番#1121)

磁気がゼロになる訳ではありませんが、スマホのコンパスやポケットのカードへの影響は最小限に抑えられます。通販だとあまり扱われていない上に高いのですが、私は手芸店で170円で見かけた時にまとめ買いしています。

前回ミシンで外周をぐるりと縫う際に、マグネットボタンにおさえが干渉して縫い目が曲がってしまいました。その教訓を生かして今回は、コバから十分離した位置にマグネットボタンを取り付けました。コバから3mm内側を縫う場合、前回マグネットボタンの中心点がコバから15mmでおさえが干渉しましたので、今回は17.5mmにしてみます。前回より革が厚いのでボタン閉まるか不安・・・。

裏側のカシメ金具をそのままにしておくとポケットに入れたカード類が傷つくので、伸び止めテープをで養生しておきます。そしてカシメ金具を避けるように芯材をくり抜いて、サイビノールで接着します。

そして今度こそ内張りを貼り付けます。今度は貼り合わせた後に本裁ちでコバを揃えることができないので、慎重にツライチになるように貼ります。多少サイビノールがはみ出ますが、サイビノールが固まった後に生ゴムでこすればきれいに取れるので大丈夫です。

無事に失敗箇所のリカバリーができてよかったです・・・。

コバの処理

角のアール部分は1円玉を定規にして丸くカットします。

ヌメ革にコインを当てると黒く跡がついて焦りますが、これも消しゴムでこすればキレイに落ちます。

ヘリ落としで裏表両面の角を落とし、1000番のサンドペーパーでコバを丸く仕上げます。

前回はその後コバスーパーを塗りましたが、今回は折角きれいなヌメ革なので透明なトコノールで仕上げます。

ステッチンググルーバーの先端を稔に付け替えて、コバから3mmのラインに溝を付けていきます。そしてこの後、このラインに沿ってミシンで縫っていきます。

ミシン絶不調!

改造鋳物ミシンにオルガン社DB×F2ナイフ針の23番を装着。(※ 針板の針穴拡大しないと普通は太くて使えません。)

糸はテントやカバンの縫製に使用されるビニモMBTの太さ5番手、色は#132のオリーブグリーンを使用。

ところがどうしても糸調子が合いません。6時間手こずって出来上がったのは試し縫いの端切れと糸くずの山・・・。

多少縫い目が変でももういいや!と思い切って縫い始めましたが、途中で糸がほつれて絡まりました・・・。

裏返してみるとこの有り様・・・。

1.7mm厚の硬いヌメ革では糸の抵抗が強すぎて糸調子合いにくいのかもしれません。糸すべりを良くするシリコン剤もあるのですが、試してみたら糸から革へシリコン剤が染みてシミになったのでヌメ革へ使用するのは止めました。

手縫い

仕方ないので全部糸をほどき、ミシンからも糸を外して、単なる縫い穴あけマシーンとして利用することにしました。集合住宅ではトンカチが使えないので、これはこれで良いかも。

それにしても穴の間隔が均等になってませんね。こんなことなら最初から菱目打ちで縫い穴開けて、手縫いで縫っていたほうが早くてキレイに仕上がったと後悔・・・。まぁ仕方ないのでここから頑張って手縫いすることにします。

久しぶり過ぎて手縫いの方法忘れたので糸の通し方からググり直してますが、菱目打ちとミシンでは穴の向きが逆で糸の撚りも逆なので、通常とは表裏逆の通し方で縫い進めてます。

縫えた!ミシンがジャムったトコロの縫い穴が不揃いなので縫い目ヨレヨレです。

タオルみたいだった裏面は、手で縫い直したらだいぶマシになりました。

マグネットボタンの取り付け

前回クラフト社の磁気防止マグネット14mmに対して、カシメボタン側は12mmがピッタリでした。

セリアで12mmカシメボタンが売ってたので、これでもいけるんじゃね?と試しに買ってみましたがこれが間違いの元だった・・・。

一応ピッタリくっ付くのですが、なんかイマイチ吸着力が弱いのです。

カシメを通す穴の大きさも明記してくれればいいのに。3.5mmでした。

インナーケースを入れてフタを閉じて、マグネットボタンのベースと自然に重なる位置に穴を開けます。

ミシンおさえとの干渉を考慮してマグネットボタンのベースを2.5mm程外側へ逃してたので、留め具の長さが短すぎないか心配でしたがギリギリ許容範囲内でした。

ボタンの取説に従い、保護キャップをかぶせて木槌で叩いたら一発で砕けました。なんじゃコレ?

仕方ないので打ち台で打ち直しましたが、磁石の吸着が弱すぎて革のハリでボタンが開いてしまいお話になりませんでした。

やはりセイワの12mmマグネじゃないとだめですね。別にまわしもんじゃありませんけど。

うん、全然吸着力が違います。

こいつに打ち直して、無事にフタが閉まるようになりました。

カメラ穴と革のハリ問題

無事にフタが閉まったのは良いのですが、革の厚み増加のマチ幅を増やしていなかったためインナーケースが外側へ逃げてしまっています。前回1.2mm厚の革で製作したときは丁度良かったのですが、今回1.7〜1.8mm厚なので、マチの幅をあと3〜4mm足さなきゃいけませんでしたね。

この後、革のエイジング用にニートフットオイルをたっぷり塗って馴染ませるのですが、その際に革が柔らかくなるのでなんとかなるかもしれません。

製作の模様をアップしていたインスタのコメントで「カメラ穴を開け忘れている」との指摘がありましたが、先に開けてしまうと手直しが効かなくなるので後回しにしています。微妙に外側に逃げているインナーケースが、革の柔らかさ具合でどの位置に落ち着くかわからないからです。

エイジング

ニートフットオイルをたっぷり塗り込みます。ヌメ革にはハケでペンキを塗る勢いで塗布すると良いらしいです。私はスコットショップタオルで塗り込むことにしました。色白だった革が一気に印象変わってワイルド感出てきました!

塗った直後はやりすぎたかとビビるのですが、あっという間に吸収されて色も落ち着くので心配無用でした。

やっとカメラ穴

オイルが良く馴染むと革が柔らかくなり、ギュウギュウ音を立てて閉めてたフタがパタパタと片手で開閉できるようになりました。インナーケースもさほど外側へ逃さなくてもフタが閉まるようになったので、いよいよカメラ穴を開けます。

自然にフタが閉まる位置にインナーケースを固定して、ケースのカメラ穴に合わせて銀ペンでラインを引きます。

線に合わせて切り抜いたら、他のコバ同様にヘリ落としとサンドペーパー処理して、トコノール塗って磨きます。コバスーパーやバスコ塗るより神経使わないので楽で良いです。

あとは何日かお日様に当ててこんがりきつね色に焼けたら、極太両面テープでインナーケースを貼り付けて完成です!

さて本体が届くのはいつになるやら。

型紙販売はじめました

今回実際に製作してみて気付いた点を型紙に反映し、A4サイズのPDFファイルにしてダウンロード販売いたします。

【型紙】iPhone12 Pro Max用 手帳型本革カバー型紙PDF(BOOTH)


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