コスパ抜群のミキサー、Soundcraft社EPM12のフェーダーが調子悪くなってきたので、パーツを交換しようとしたけれど敢え無く失敗したというお話です。
自力修理をお考えの方のご参考に。
購入後まだ数年しか経っておらずガリが出てる訳でもないのですが、使用頻度の高いチャンネルで時々音が出ない症状が発生。慌ててフェーダーを操作しようとすると、少し触っただけで音が出るという不思議な現象が起こっていました。
使用頻度が高く微調整操作の多いチャンネルのみ、フェーダーが0db付近(出音時のデフォルト位置)の時に症状が出ていることから推察して、スライドボリューム内のカーボンがすり減っているのではないかと当たりを付けます。
交換用のスライドボリューム部品が売っていないものかと検索していると、中国Aliexpressにて「EPM12用」と謳われたパーツを発見!見つけた当初は4本セットで送料込み1,048円でした。(その後じわじわ値上がりしてます。)
Soundcraftと言えどEPM12も元々組み立ては中国工場ですし、ダストガードも付いて純正品より良さげです。安いしダメなら元に戻せばいいと考えて注文してみることにしました。
丁度1ヶ月経ってePacketでようやく部品が届いたので、いよいよ交換作業開始です!
まずは天面のパーツをすべて外します。これが大変!
フェーダー16個とツマミ110個を引っこ抜き、フォン端子35口のボルトと、キャノン端子12口分のネジを外します。フォン端子口のボルトは1/2インチボルトで薄いプラスチックワッシャーが噛ませてあり、ギリギリ手で回せるくらいの弱いトルクで締められていました。
電源部分以外の外装のネジを全て外します。写真撮り忘れていますが手前の裏側(フェーダー部裏)にもネジ3本ありました。
外装ネジ全部外したのに天板外れないな?と思ったら、こんなところにもう1本ありました…。
天板を外すといよいよ基盤とご対面。
スライドボリューム部品は基盤の裏からはんだ付けされているため、交換するには基盤を裏返す必要があります。
基板上のネジ15本をすべて外し…
最後に基盤右上の電源ユニットから伸びるコネクターを外せば、シャーシから基盤が外せます。
ここから先はテンパって写真撮り忘れているので、基盤裏面写真が無いのはご容赦を。
障害の出ている部品を交換すべく、基盤裏側のスライドボリュームはんだ付け部分をハンダゴテで溶かします。
当初の予定では、基板上のパターンや表面実装部品に影響が出ないよう、260℃程度に熱して溶かしたハンダをスッポンで吸引し、細かい所はハンダ吸い取り線で拭き取ろうと計画していました。
ところが!
この基盤に使われているはんだは鉛フリーにしても随分溶けにくいものが使用されているようで、呼びはんだを溶かし込んで360℃以上に熱しても溶ける気配がありません。熱容量を考えてコテ先を太めの物を使用していたのですが無理でした。
仕方なく、思い切って400℃以上にコテ温度を上げたところ、やっとハンダが溶け出しました!でも何か溶けちゃいけない何かが溶けたニオイが立ち込めて嫌な予感がします。
Aliexpressで取り寄せた新しい部品をはんだ付けして、ボディを組み付ける前に電源ユニットをつないで出音テストをしてみましたが、ウンともスンとも言わなくなってしまいました…。
ゲインを上げるとピークランプが点灯するので、入力信号は来ている模様ですが、フェーダーからの出力は何も無し。やはり高温に熱して吸い取り線をグリグリ押し付けていたのが悪かったようで、どこかでパターン切れを起こしているようです。
交換前のスライドボリュームを再び取り付けてみましたが状況は変わらず。そうこうするうちにハンダを付けたり吸ったりしていた箇所のスルーホールが抜けて完全に1チャンネル死んでしまいました。。
泣く泣く元通りに部品を組み付けて、残ったチャンネルのスライダーボリューム内を歯ブラシ清掃して対応終了。誰かが接点復活剤かCRCを吹いた模様で内部が油分でベトベトになっており、そこへホコリが大量に付着している状態でした。原因はコッチだったのかも。
今回は修理前より状況が悪化するという最悪の結末となってしまいました…無念。
↑レストア屋さんが使ってる、ハンダ溶かして同時にポンプで吸い出すこの手の機械で、周囲に熱の影響が出ないようにサッとやんなきゃダメだったのかもしれません。成田のサウンドハウスで3万で買えるミキサーの修理にそこまでお金かけられないですけどね。
スライドボリューム部品を取り寄せて自力交換をお考えの方は、どうぞ(リスク想定の)ご参考になさって下さい。