冬タイヤ交換の為に、電動インパクトレンチを引っ張り出して来て充電したのですがウンともスンとも言いません。バッテリーが古くなってるので買い換えようにも、とうの昔に製造終了となってました。
そこで今回は、電動工具バッテリーの中身のセルだけ入手して、リビルドバッテリー製作に挑戦してみたいと思います。
ウチのインパクトレンチは、アストロプロダクツのAP050177という機種です。タイヤ交換向けインパクトなのでトルクが320Nmと強力なのですが、重さが3kg近くもあります。。2009年モデルなので、もう製造後10年も経ってたんですね。
リチウムイオンバッテリーがまだそんなに普及していなかった時代の製品なので、当時一般的だったニッケルカドミウムバッテリーが使用されています。(だから重い!)
探しているとたまーに「AP 050177用スペアバッテリー」と書かれた商品が見つかることもありますが・・・
よく見ると微妙に形状が違うので、ウチのには適合しません。
試しに殻を剥いてみると、単2乾電池くらいの大きさのバッテリーセルが並んでいます。
何本か液漏れして死んでるセルが見受けられますね・・・。
端子部分は写真上が+端子、下が−端子、そして右側にもう一つ何かの端子がありますね。何でしょう?
謎端子に接続されたケーブルをたどると、バッテリーのマイナス端子から分岐して何かのパーツに接続されています。わざわざバッテリーセルの紙巻きを剥がして金属面に直接貼り付けられているので、温度センサーっぽいですね。
セルの印字を確認すると「KR-SC 1.2V 1300mAh」との記載。
Googleで検索してみると、どうやら「SUB-C」という規格のニッカドバッテリーセルのようです。20本直列に繋いでケースに収め、24Vの組電池としているようです。
アマゾンでニッカドSUB-Cバッテリーセルを探してみると、あるにはあるのですが高い!20本購入すると、アストロ純正バッテリー定価の約1.5倍くらいかかります!
Google先生に相談すると、高儀製品用の安いニッカドバッテリーパックを2つ購入してバラし、中身のセルを流用している方々もいるようでした。
しかし真似をしようと高儀バッテリーを探してみると現在は価格が高騰しており、2個買うとアストロ純正バッテリー定価の約2.5倍することが判明!!
・・・新しいインパクト買えちゃいますね。
SUB-Cバッテリーセルに限った話ではないのですが、電子部品を検索していると中国のショッピングサイト「Aliexpress」がよくヒットします。前々から気になってはいたのですが、いまいち怖くて手を出せずにいました。
でも容量2.6倍の3400mAhバッテリーが、なんと10本セット975円で売っているではありませんか!ダメ元で2セット注文してみました。
・・・しかしその後待てど暮らせど届く気配がありません。
実はAliexpressにはバイヤー保護プログラムというものがあり、客から預かった商品代金をすぐに売り手に振り込まず、客が商品の到着確認ボタンを押してから売り手に振り込むというシステムになっています。要はメルカリ方式の顧客保護です。
でも客が商品受取後そのまま確認ボタンを押すのを忘れることもあるので、確認期間が1〜2ヶ月の間で設定されており、それを過ぎると自動的に代金が振り込まれるようになっています。
今回購入したバッテリーは確認期間が50日だったので、45日経過時点で「紛争」という物騒な表示のボタンを押して返金要求を送り、4日後に無事に払い戻しを受けることができました。
(ちなみに中国発送の通販が到着に1〜2ヶ月かかるのは普通のようです。)
貨物追跡のできない普通郵便での購入に懲りたので、次は追加送料1,398円を支払って追跡付きEMSで発送してくれる出品者を探しました。容量1800mAhのニッカドSUB-Cバッテリーが20本セットでなんと2,564円でした。
(※同じ商品でも発送時期により価格や送料が大幅に増減するので注意が必要です。)
23日後、今度こそ無事に品物が到着しました!
バッテリーセルには、セル同士を接続するタブや、その他端子類がスポット溶接されています。
それらを再利用するため、なるべくちぎらないよう慎重に剥がして行きます。
まぁ、慎重にやっても結局ボロボロになるんですけどね。
後ではんだ付けしやすいように、タブのぐにゃぐにゃになってしまった部分はペンチで握って平らにしときます。
上段と下段を繋ぐタブも再利用します。
でもなかなかキレイには剥がせませんね。ケーブルで代用しますか・・・。
今回購入したセルにはタブが付いています。
これらを全部直列にはんだ付けしていくわけですが、それぞれのタブの向きを正確に合わせて付けていかないと最後にケースに収まらなくなる事が予想されます。
なので古いセルの配列を参考に、一旦タブの向きをシミュレーションしてみます。プラス側のタブは使わず、マイナス側のタブを使ってはんだ付けしていくことにしてみました。
ためしにタブの先端5mmくらいのところにカッターで薄く切れ目を入れて引っ張ってみたら、良い感じに絶縁チューブが取れました。
プラス側の絶縁シールを剥がしてタブにフラックスを塗り・・・
先にプラス端子のタブの上にハンダを盛っておき・・・
そこへフラックスを塗ったマイナス端子のタブを、はんだごてで押し付けながらハンダを溶かし、上からもはんだを足すようにしてみたら良い感じに付きました。
ちなみに電池表面は一切はんだが付きません。スポット溶接されているタブ同士をはんだ付けしていくしかありませんでした。
そんな感じでどんどんマイナス側のタブをプラス端子にはんだ付けしていきます。全体を輪ゴムで留めながら作業するとやりやすかったです。
表面が終わったら、裏面も同様にはんだ付けしていきます。
次に上段のグリップ部の2本のセルを組み立てて行きます。
バッテリーマイナス端子側のセルに、セロテープで温度センサーを直に貼り付けられるように細長く被覆を剥きます。
セルのマイナス側のタブに温度センサーのタブをはんだ付けし・・・
タブ側面の金属面にセロテープで温度センサー本体を直貼りします。
古いセルからむしり取った端子板を各々プラスとマイナスのタブにはんだ付けして、元通り枠にはめ込みます。
そしていよいよ上段と下段のバッテリーセルを接続!
上段と下段を接続していたタブがむしり取った時にボロボロになってしまったので、太めのケーブルをはんだ付けして熱収縮テープで絶縁してみたのですが・・・
ケーブルの太さ分厚みが増してしまい、ケースのフタが閉まらなくなってしまいました。
仕方なく、古いセルからむしり取る時ボロボロになってしまったタブを再利用して上段と下段を接続!今度は無事にケースのフタが閉まりました。
早速充電してみたところ過熱したりエラーが出ることもなく無事に充電完了!
試運転してみたところ動作も良好でした!
中華通販でのパーツ入手に2ヶ月以上を費やしてしまいましたが、送料込み合計3,962円で廃番バッテリーを復活させることに成功しました!
ニッカドバッテリーパックが製造終了してしまって古い電動工具が使えずにお困りの方、参考にどうぞ。(自己責任でヨロシクです。)