レザークラフトを始めたと周囲に話したところ、何故か革製品の再生事案が寄せられてまいりました。
劣化した皮革の再生に関しては素人で何も解らないのですが「ダメ元でいいから」という依頼主のお言葉に甘えて実験をさせて頂くことにしました。革製品が使用される過程でどのように劣化していくかを知るのも、制作時の材料選びや強度の出し方の勉強になりますしね。

まずは義母がご依頼のこのバッグ。昔譲り受けたもので、当時はもっと朱色っぽい鮮やかな色だったとのこと。上の写真は一旦洗ってから生乾き状態で撮影しているのでわかりにくいですが、持ち込まれた時は吟面が剥げて表面が白っぽくなっていました。ダメになってもいいからで再生してみて欲しいとのことですが、まさかこれエ◯メスのエ◯リンじゃぁ・・・でもエ◯リンはもっとシボが深い革だったからきっと違うよと自分に言い聞かせ、思い切って作業にかかります。

写真が前後してますが、まずは40度のお湯と石鹸でつけ置き洗い。サドルソープなんて持ってないので、普通にライオンの植物物語(固形)と歯ブラシでそっと長年の汚れを落とし、よーくすすいでみます。
アルカリに寄った上に油分が抜けて、なんだか皮革にはとても悪そう。。

一晩室内で陰干しして、まだしっとり生乾きのうちにSEIWAのアルコール系染料スピランの赤で染めてみます。刷毛等で塗るとムラになりそうな気がしたので、メリヤス布に染み込ませてから軽くポンポン叩きつけていきました。
油分が抜けたところにアルコール染料なんて、革が固まってガチガチになりそう。。。カラカラに乾かさないように気をつけてみます。

数時間陰干しして生乾きのうちに、もう一度スピランで染めてみました。だいぶ鮮やかになりました。

このままでも大丈夫なのかもしれませんが色落ちして衣服に色移りしたら嫌なので、バインダーで色止めしてから表面仕上げ剤でツヤを出してみます。この時点でだいぶ革が硬くなってきたので、仕上げ材が乾いたあとにホースオイルをふんだんに擦り込んで油分を補給しました。

ワカメコンブ状態になっていた肩紐と壊れた金具は捨てて、特価で入手したヌメ紐とナスカンで肩紐を新造しました。

肩紐に合わせて、留め具もヌメ革ハギレで新造しました。ちゃんと古い留め具のマグネットも移植してあります。外周を赤いステッチでぐるりと縫おうかとも思いましたが、ちょっと印象がカジュアルになりすぎてしまうのでやめました。

という訳で、無事に初めての再生案件をクリア。義母には大層喜んで頂けました。でもこれで本当によかったのかは自信ありません。この後のエイジングを観察させて頂くことにしましょう。

そんな義母のバッグをみて、ワタシも!という方から見事に吟面のハゲたバッグが持ち込まれて途方に暮れてます。。折角のナチュラルブラウン、染めたら汚くなりそうでどうしたらいいかさっぱり解りません。

とりあえず試しに目立たない底のほうから、ガサガサになってる部分にニートフットオイルをメリヤスに染み込ませてから摺りこんでみます。

おお!こりゃスゲェ!オイル摺りこんで磨くだけでかなりハゲ部分が目立たなくなりました!!

でも、ちょっと時間が経って油分が馴染んでくると、またハゲた部分が白くなってカサカサしてきます。
そこで、試しにコバや床面磨きに使うCMCを表面に薄く塗り伸ばして、半乾きのタイミングでメリヤスでゴシゴシ磨いてみます。すると!

おおおお!全然わからない!まるで吟面再生したように見えます!そして一晩経っても色が戻らない!

こんなところも・・・

この通り!!
まさか染色せずともここまで再生するとは思いもよりませんでした。恐るべし皮革の再生力。適度な油分・水分と表面のコーティングがあれば復活するようです。

同様の処置を全体に施して3日ほど寝かせてますが、どうやら状態安定しているようです。
多分、染料染めのタンニン鞣しの革だけに有効な再生方法と思われます。顔料染めだったりクロム鞣しだったりするとこうはいかないんでしょうね。。
条件の合う方はお試しあれ!


