先日やって来たSINGER 188u BlueChampion。
革縫いのため目下改造中です。
まず最初に導入したのは工業用23番針、しかも皮革用に先端がナイフ状に加工された針です。
この太さ!
右がこの度購入したオルガン社製皮革向けナイフ針DB×F2の23番。
左は従来使用してきた厚物用16番針です。
こいつを使えば菱目打ちで穴を開けて手縫いをしたかのような縫い目になるらしいです。しかし、いくら職業用ミシンとはいえこれは規格外。使えるようになるのか心配です。
案の定通常のφ1.8mm針板ではこの通り穴が小さすぎて入りません。太い分、針の中心が針軸より左に逃げてしまい、針板にガッツリ当たってます。針板はφ2.6mmくらいの厚物用針板を探して買うことにします。
次に、針板と送り歯を外し、釜への接触が無いか確認してみます。
おお!こんな太い針でも釜への干渉は無さそう!
ちょっと隙間が開いてます。
念の為ミシンをひっくり返して裏側からも確認。
ギリギリ釜に触れずに針が落ちてますね。
どうやら釜は無改造で使用できそうです。
そんな訳で早速大阪のミシン屋さんからφ2.6mmの工業用針板と、ついでにゴム付き送り歯を取り寄せます。これで革を傷つけずに縫えると思ったんだけど、そうは行かなかった。。。
まず送り歯。
下げた状態でもこんなに飛び出てます。
しかも針板にガツガツ当たって干渉してるし。。
思い切って送り歯の飛び出た部分をカッターでこそぎ落としてみます。
これで干渉しなくなれば良いですが。。。
・・・加工の甲斐なく送り歯が針板にガツガツ干渉します。
ダメですねこりゃ。
よく調べてみるとこの針板と送り歯はどうやら工業用専用だったらしく、職業用ミシンでは使用できないとのこと。てっきりこの辺の部品は職業用も工業用も共通だと思い込んでました。トホホ。
気を取り直して職業用の針板を再度買い直そうかとも思いましたがφ2.0mmまでの物しか見つけられませんでした。仕方なくノーマル針板の穴をゴリゴリ削って拡大。
(´・ω・`)
これでなんとか針は通りそうですね。
送り歯もノーマルに戻し、革への引っかき傷を減らすため刃のエッジをヤスリで少々削ります。
押さえはテフロン段付き押さえに交換。針板にもテフロンテープを貼って摩擦を減らし、送り歯が革に噛む力を極限まで減らします。段付きの押さえなので、これで革のコバから3mmのラインを真っ直ぐに縫える筈。一応これで針周りの改造が完成!いよいよ性能テストです。
とりあえずテスト用に革手紐サンプルをこさえてみます。
厚さ1.4mmの柔らかめのクロム革なので伸び止めに補強テープを入れます。
両端には仮止め用の両面テープ。
サンプル手紐(肩紐?)を両面テープで仮止めするとこんな感じ。
3枚重ね+補強テープ+両面テープで、厚み5.2mmくらい。
この両端をビニモMBTの5番で試し縫いしてみます。
おおおお!!
ヨーロッパ目打ちで穴開けて手縫いしたかのような縫い目になりました!
まぁ実際はここまで縫い目が綺麗になるのに、一晩糸調子と格闘したんですがね。。
以下の3点を気をつければうまく綺麗に縫えました。
① 上糸調子は糸が切れそうなくらいギュンギュンに締め上げる。
そうしないと下側に糸がはみだします。
② 下糸調子(ボビンケース)は逆にユルユルに。
③ 押さえのつま先が上がらないように手で押さえる。(※注意)
粘着テープが何枚も入っているせいもあり、針が抜ける時に革が持ち上がります。そうすると針穴近辺の糸が緩んでヨリが戻ってしまい、針先に絡んで糸が切れてしまいます。だからといって押さえの圧力をあまり上げてしまうと、送り歯が革に食い込んで吟面がボロボロになります。この問題を回避する方法が③という訳です。針が抜ける瞬間だけ、押さえが持ち上がらないように手で押さえてやります。それだけで綺麗に縫えました!
※ 但し、この方法は指先を誤って縫ってしまう危険が伴いますのでくれぐれも注意が必要です。
硬めのヌメ革で粘着テープ未使用であれば、針が抜ける時にかかる力が比較的少ないのですんなり縫えると思われます。
長くなったので、ヌメ革での縫製結果はまた機会があれば。
2016年4月22日追記:
革縫い改造ミシンを検索して、今も沢山の方がこの記事を読んで下さっているようなのでチョット補足。
この記事を書いた時はやはり粘着テープで仮止めしていた事が原因で縫いにくかったようです。その後セメダインやサイビノール等の固まるタイプの接着剤で接着してから縫うようにしたところフツーにさくさく縫えるようになりました。樹脂製のテフロン段付き押さえは糸調子をキツくすると反るので、金属製の押さえにテフロンテープ貼ったほうが安全です。
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